『音声言語VII』近畿音声言語研究会 2016年


長井克己

日本人英語学習者による無意味語逆成と言い誤り

要旨

無意味語を1音節ずつ前方と後方から伸張して12名の日本語話者に提示し,人工的に言い誤りを生起させて録音した。言い誤りの有無を点数化して比較したところ,試験語を前方から伸張した場合の方が,後方から伸張するよりも良好な成績となった。実験参加者の外国語学習到達度(TOEICリスニング・リーディングスコア)との相関は弱かった。言い誤りを欠落・追加・置換に3分類したところ,試験語の一部が異なる音素と入れ替わる置換エラーが最も頻度が高く,試験語に含まれない音素の追加エラーが最も少なかった。子音や母音のみで誤りが生じることは少ないことや,調音位置などの素性が共有されることが多いことも明らかとなった。